《MUMEI》
おかしな現場
刺されたのは…二宮だった。あの赤い髪、間違いない。奴は倒れこむ瞬間、こっちを見た。ちょうどバスが動き始めたからだろう。

あいつは僕の姿に気づいたのかな…?現場からバスまでそう遠くはなかったが、一緒にバスに乗っていた乗客は誰一人としてその状況に気付いていなかった。気付いていたら大騒ぎするはずだ。もし誰かが騒ぎ出したら、僕も一緒になって騒ぎ出していただろう。でも気付いたのは僕だけだった。

バスがあの現場の近くに止まった。路地裏は…いつもと変わりない。バスの中からじゃ血痕も見えない。もう発見されたのか?それにしてはあまりに周りが平然としている。

おかしい。
何かがおかしい。

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