《MUMEI》
同級生とのキス
何の因果か、アタシはアイツの隣の席になってしまった…。

「いよっ! よろしくな!」

教室中には、男女共々ブーイングが響き渡る。

原因は担任の一言だ。

進学校として名高いウチの高校は、男女共学と言えどもお互いライバル心が強く、カップルなど珍しいぐらいだ。

つまり、男女共々仲が悪い。

担任は妥協策として席をくっ付け、男女を並べるという強攻策に出てしまった。

くしくもウチのクラスは男女共、同じ人数で18人ずついる。

だから人数、性別余ることなく、キレイに並んで座ることができる…んだけど。

何故クラス委員長のアタシが、このクラスで1番成績の悪いコイツと隣同士になる!?

…いや、ただ単に、クジ運が悪かっただけだろう。

せめてもの救いは、窓際で後ろの席ってことだろう。

教卓の目の前だけは、さすがのアタシもカンベンだ。

「なぁなぁ、オレ、教科書忘れたんだ。見せてくれよ」

朗らかな笑顔で言ってくるアイツに、殺意少々。

…高校生にもなって、教科書忘れるか? フツー。

「…はい、どうぞ」

机の真ん中に教科書を置いて、見せる。

ここで断ったら、アタシ自身の評判が悪くなる。

「さんきゅー!」

悪い人ではない。

明るくて素直で、純粋。

…アタシには無いものを持っている男の子。

だからイラつくのかな?

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