《MUMEI》

…それからと言うもの。

アタシの人生は変わった。

隣の席だからって、先生達はアイツの勉強を見てやるようにと言ってきた。

不満に思いながらも、クラスの成績向上の為と思って、渋々教えた。

これが物覚えの悪いこと!

よくウチの高校に入れたなぁと、疑問に思ってしまうほどに。

でも根気良く教えていけば、何とか平均点まで取れるようになった。

…でもその頃には、アイツの担当はアタシになっていた…。

アイツに何かあるごとに、周囲の人間はアタシに頼む。

問題児というワケじゃない。

ただ何かしら、巻き込まれやすいタイプみたいだ。

まあアタシが手を貸せる範囲であれば良いかなんて考えてしまったのが…間違いだったのかもしれない。

気付いた時には、すっかり世話を焼くようになっていた。

だけどアイツが凄く喜んでくれるから、それも良いかなと思ってしまった。

やがて季節は巡り、席替えの時期になった。

アイツと離れ離れになることを、少し寂しく思っている自分に気付いた。

けれどコレだけはどうしようもないと思っていたのに…。

「またよろしくな!」

何故また隣!?

…いっいや、良いんだけどサ。

……などと思っていたら、次の席替えも。

「またまたよろしくな!」

うっそーんっ!?

何この偶然! それとも運命!?

素直に喜べないのは、何故なの!?

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