《MUMEI》
GW初日4
一ノ宮 次朗視点


さすがに、これはまずいと思った


美しく、スムーズに物事が進むのが大好きな、僕としても


これは、まずい


「ちょっと、こっち来て」


双子を説教しようと、寮の外に連れ出した


「何何〜?」

「やっぱり、綺麗な朗には、汚い掃除の監督なんて、似合わないよね」

「「だから、早く帰ろう」」


双子は嬉しそうに、僕の手を、両側から引っ張った


けど


「…帰らないよ」


僕は、きっぱりと断った


「「高橋誠がいるから?」」

「…その顔は、可愛くないな」


可愛い嫉妬位なら


すねる位なら、むしろ大歓迎だけど


嫉妬し過ぎて


醜く歪んで


殺気を含んだ、その顔は


いくら、付き合いの長い双子でも


いや


付き合いの長い、双子だからこそ


いただけなかった


だから、僕は


「帰りたかったら、二人だけで帰れば?」


そう言って、双子の手を振りほどいて


双子をその場に置いて、寮に戻った

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