《MUMEI》
※GW初日5
鈴堂 正次視点


「朗…」


義が情けない声を出しても


朗は、振り返らなかった


「正ぁ〜」

「情けない声出すな」


同じ声だから、微妙な気持ちになる


「さっきのは、確かに僕等が大人気無かった」


朗が怒るのも、わかる


「けど、」

「…うん」


義が、不満なのは、もっとわかる


僕も、同じ気持ちだから


わざわざ


僕等とのセックスを早目に切り上げて、休んで


早起きして


GW


いつもなら、朗の別荘で


今年位、日数があったらスイスの別荘で、のんびり過ごすはずなのに


なのに


予定を全部キャンセルして


変な言い訳して


高橋誠に会いに行く、なんて


嫌味の一つや二つ、言わなければ、やってられなかった


「親衛隊が無いのが、キツイな」


共学になる前なら


僕達の言う事を聞いて


朗に不用意に近付く生徒に制裁を下す、便利な親衛隊がいたのに


どこかに、僕達の手駒になるような、子は…


「正、…あれ」

「ん?」


あれ、は…


帰ったはずの、相楽、…歩?

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