《MUMEI》

ジェイオルは膝をついて呆然としている山男に声をかける。

「なぁ、お前ら、あの後はどのくらいの力を貯えて今まで生活してきてんだ?」

「お、お前には関係ないだろう。」

あからさまに嫌な顔をして山男はジェイオルを睨み付ける。ジェイオルは大して気にした風も無く続ける。

「いやぁ、興味はあるね。まさかフルパワー貯えてって訳じゃないだろう?
自分で力を発生できないお前らが、力を補う方法はたった一つ。あの方法はフェルから直接吸収していたころに比べりゃ全然貯まりが悪いって聞くけどな?」

「心配されなくても俺はそんなに力を使う生活はしていないから…」

「でも、相方の方は常に力使ってるんだろう?」

山男ははっとしてジェイオルの方を向く。

「なんで、それを…」

「俺はお前の事はうっかり忘れていたけどな。ヨシの事はそれなりに注意して見てきたんだよ。」

「な!」

「安心しろよ、言ったはずだ、成熟したスレシルには用が無い。買い手が付かないからな。スレシルとしての魅力が半分以上も損なわれた様なヤツをペットにしたいなんて変態は滅多にいないんだよ。」

「それならなんで、善彦の事を…」

「俺の事をあんな目に遭わせた奴らがその後どうしたのか気になって、たまに覗いていたんだ。そしたら、お前ら面白い事してるじゃないか。特にヨシの方が。」

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