《MUMEI》
能力
「貯めた力はほぼ善彦に渡しているから…俺が今でも力を使えることには、ほとんど意味がない。」

普段、もてあました力を無駄に使うから、こういう時にガス欠を起こすんだ。小さな声で呟いた声はジェイオルに届いたのか。

「なんだ、お前ら、力のやりとりまで出来るのか。」

「…フェルには関係ない話だろう。」

「関係ないが故に方法は伝え聞きした知識しか無いんだよ。実際にやってるヤツから聞いた方が確実だろ?」

「絶対に教えない!これだけは絶対に。」

「ふーん、だってお前、今現在力がほとんど無くなってるんだろう?あんだけ力貯えてるあいつから少しもらうとか、考えないのか?」

思いも因らなかった提案に山男は目を瞬いて明智を見る。しかし…

「…いや!ダメだ!仮にも高校生で自分の務める学校の生徒にあんな事…ましてやあいつの弟だってのに…出来ない出来ない…」

自分の言葉に軽い混乱を見せた山男にジェイオルは軽く面を食らうも、重要な単語を聞き漏らすことはしなかった。

「…弟?」

「あ…しまった墓穴った…」

「なんだ、あいつ、ヨシの弟なのか?兄弟か…ふーん」

方手を顎に持ってきてニヤニヤしながら雅俊を見るジェイオルを見て、山男はしまったとため息を吐く。

「ヨシと、新スレシルが兄弟か。珍しいけどな、同じフェルからの出現ってのは今までに前例が無い訳じゃない。スレシルの発生条件なんて、全てが解明されているわけでも無いけど、フェル界だって無駄に多くの時間を生きている訳じゃないからな。」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫