《MUMEI》

「能力値が異常なのは、兄弟とか関係無いんだろう?今までにも前例が無い訳でもないのに、お前がこんな数値を見たことも無いって事は。」

話題が雅俊に移った事で多少落ち着きを取り戻した山男は、少しはジェイオルの持つ情報を聞き出してみようと、話を変える。

「恐らくな。サプリが異常にくっついて回ったりして、余計に力吸わせたとかじゃないのか?」

「んなまさか。俺たちの時に、極力学校には近づかないようにしていた。って言ってたヤツが数年で考え方変わるかよ。」

サプリの性格を嫌と言うほど知っている山男はきっぱりと否定をする。

「自分からスレシル出したいって思ってるフェルも少なくないんだけどな。無駄に管轄内の人間の近くうろうろしてるヤツいっぱい見てきたけど。」

「明智…雅俊で3回目なんだよ。サプリは。」

「…は?」

「俺たちの時で、スレシルを発生させたのが2回目。その前は随分昔らしいけど。」

今度はジェイオルが驚いた顔をしている。

「1回目が何年前の事かは分からないが、随分大変だったみたいで。極力スレシルが出にくい様に色々調べて気を使っていたよ。6年前は。それなのに俺たちが現れてかなりショック受けていたからな。」

「信じられないな。サプリがここの学校に憑いてから、人間の時間計算で、まだ50年ちょっとだろう?この短期間で3回。どうなってるんだサプリは。」

俺の情報収集もまだまだだな、と舌打ちをしながら、ジェイオルはふと雅俊の方を見る。雅俊はまだパワーゲージの観察をしていて、ジェイオルの視線には気が付かない。

「能力自体も、結構似たもの持ってるみたいだしな。」

「善彦と一緒なら化(センス)?」

ジェイオルはまた雅俊から目線を山男に戻すとまた能力が読める事を自慢するかの様に笑う。

「こいつは化(センス)だけじゃない。6大能力のうち、3つも持ってるぜ。主に、化(センス)だがな。」

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