《MUMEI》 結局、あの穴のことは誰も見ていなかったために放置して列車を降りた。 ヘル達が降りたその駅はそれはそれは無惨に朽ち果てていた。 辺りはこの駅の背景にピッタリな麦畑が一面に広がり、夕日がまたなんとも言えない田舎っぽさを引き出していた。 「ところでヘル。あれは知り合いかい?」 「は?」 そこには見覚えおおありの白髪少年が“宙に浮いて”そこにいた。 「・・・。」 一目散に方向を変え逆方向へ不振がられないよう逃げる。 「あっ、ちょっとぅ」 ヘブンがわざとらしく俺の髪をひっつかむ。 だいたいヘブンは俺に聞かなくったってあいつを知っているはずだ。 この“悪魔”め・・・! 「あっ、おにぃさん。」 あぁぁ、ほら見つかっちまった。 ヘルは心の中で「畜生」と悪態をつくと振り返った。 「きゃっほぉ!久しぶりぃ。」 そういうと少年改め少女、ルイス・A・リーバー通称《人喰い》は空をかけるようにして突っ込んできた。 前へ |次へ |
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