《MUMEI》
体育!! 〈おれ〉
香織センセーにもちゃんとお礼言えたし、
とりあえずやるべきことはやったかな。



教室に戻ってほっと息をつくと、



「みつる、着替えようぜ!!」



瀬田の声。



「次、体育だろ!?」



…そうだった。


1限目はおれが唯一好きな教科、体育だ。



「お前最近チョーシ悪いかんな〜!!
ダイジョブか!?」



瀬田が笑いながら言ってくる。



「おう、今日はぜってー負けねえよ」


「―……」



おれをじいっと見つめる瀬田。



「…なんだよ??」



見返すと、




「おかえりみつる!!!」



瀬田が叫びながら抱きついてきた。



「…ぅわっ!?…んだよ、―…は、な、せ…っ!!」



なんなんだ!?



「だってよぉ〜、最近のみつる、
なんか女々しかったんだもん。
でも今日はちゃんと『みつる』だな、って思うと
嬉しくなってつい…」



おれのひざ蹴りをくらって涙目になりながら、
瀬田が言った。



「―……!!」



瀬田は瀬田なりに、心配してくれてたのか。


蓬田の言葉を思い出す。



『瀬田くん、椎名くんのこと心配してたからさ、
―…戻ったら、ちゃんとありがとうって言うんだよ?』



そうだよな、たまには―…



「ごめんな、心配かけて。
―…ありがとう。もう大丈夫だから」



おれが言うと、



「―…やっぱみつるじゃねえ…
こんな素直なみつる、怖えよ…」



真面目な顔で瀬田が言うので、もう一度ひざ蹴りをくらわせてやった。

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