《MUMEI》

「あれ〜??椎名クンじゃないでちゅか〜!
この前は吹っ飛ばしちゃってごめんねぇ??」



小木がニヤニヤしながら猫なで声で喋る。
6組のやつらは、クスクス笑っている。



…ガキが。



「あ〜、別に気にしてねえよ。
…こっちこそ悪いな!!」


「あ??何がだよ?」


「いや、今日はお前恥かくだろうから…
先に謝っとくわ」


「…っ、ハア!?」




顔を真っ赤にした小木はほっといて、
瀬田たちの方に向き直る。



「おい、お前最近散々だったじゃん…
あんなこと言って大丈夫かよ??」



バスケ部の大石が心配そうにおれを見る。



「大丈夫だ。
―…いつも通り、おれにボール回せ」


「…了解」



おれの口調に、自信を感じ取ったんだろう。
大石は、にやりと笑って答えた。

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