《MUMEI》

結局、試合は57−12でおれたちの圧勝だった。



「みつる大活躍〜!!」



瀬田がおれに抱きつこうとしたのを避け、
しゃがみ込む小木の前に立った。


顔を上げ、おれを睨みつける小木に手を差し出す。



「…これで、あいこってことで」


「…はあ??」



これで、十分恥かいただろ。

蓬田に怖い思いさせた分は、これでチャラってことで。


―…まあ、小木は入れ替わってるなんて
知らなかった訳だから、
本当は悪くねえんだけど。



「いみ、わかんねー…」



そう呟くと、小木はおれの手を払って自力で立ち上がった。



「かわいそうに、相当なダメージだぞ、あいつ」


「放っとけよ」



チームメイトが口々にそんなことを言った。




おれは、払われた右手を見つめる。




立ち上がった小木は、笑ってた。




―…少し、楽しそうに。

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