《MUMEI》 復活 〈私〉「うちの男子負けてるって〜!!」 「え〜、だっさ!!」 「椎名く〜ん!!ファイト〜!」 声のするほうを見ると、 6組の女の子たちがなぜか椎名くんを応援している。 名前を呼ばれたのに反応して、 椎名くんがこっちを見た。 目が合う。 やっぱりかっこいいなあ、ってドキドキしながら、 「すごい!!」 って、口の形だけで言った。 椎名くんは、少し、微笑んだ…気がした。 「ばーか、椎名って、それ3組の子じゃん!!」 「え〜、だってあん中じゃ一番かっこいいじゃ〜ん」 「まあ、カッコいいけどさあ」 「小木とか背え高いだけだしね〜」 「椎名君て、あの茶髪の子??」 「そ。…あ、今小木抜いた!!」 「「おお〜!かっこい〜!!」」 …複雑。 椎名くんって、そんなに人気あったの…?? 6組の子たちって、ギャルっぽい子が多いけど… 「椎名君て、空手やばいらしいよ!!」 「えーなにそれ??」 「や、なんか五段持ってるらしい!」 「それってすごいの??」 「あたしもよくわかんないけどー… まあ強いんじゃね!?」 ぎゃはは、 という笑い声が響く。 椎名くんは、すごく強いんだよ!! 強いだけじゃなくて、優しいし、たまにかわいいし… しかも、まっすぐで誠実で礼儀正しくて、料理だって―… はっと我に返る。 妄想が膨らんでしまうところだった。 試合観戦に集中しなきゃ。 …それにしても、さっきから 椎名くんへの声援が増えてる気がするのは私だけ…?? 前へ |次へ |
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