《MUMEI》 夜が明けて、叶恵もずいぶん動けるようになった。 朝食を取り、(味は栢の名誉のためにも伏せておく)本部へ連絡を取る。 無線機のことはすっかり忘れていたのだが雨にぬれず無事だった。 「朝のうちに迎えが来るって。」 「そう・・・。」 栢は少しシュンとうなだれた。 「だ・・大丈夫だよ!ここには、また別の人が来てくれるから!安心して。あたしより強くて栢達を守ってくれるから!」 「そ・・そういうことじゃないんだけどね。」 「?」 「あっ!な・・・なんでもない、なんでもない!そっ・・そっかぁ、それじゃあ安心だね!紀羅!」 さっきまで栢と同じくうなだれていた紀羅だが、栢に話を振られて「う、うん」とうなずいた。 「あっ!そういえば叶恵。今聞くことじゃないんだけど、叶恵ってもしかしてお父さんかお母さんが妖狐だったりする?」 「紀羅!」 その質問に叶恵は少し驚くようにしたが、やがて優しそうな笑みを浮かべて答えた。 前へ |次へ |
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