《MUMEI》

夜が明けて、叶恵もずいぶん動けるようになった。

朝食を取り、(味は栢の名誉のためにも伏せておく)本部へ連絡を取る。

無線機のことはすっかり忘れていたのだが雨にぬれず無事だった。

「朝のうちに迎えが来るって。」

「そう・・・。」

栢は少しシュンとうなだれた。

「だ・・大丈夫だよ!ここには、また別の人が来てくれるから!安心して。あたしより強くて栢達を守ってくれるから!」

「そ・・そういうことじゃないんだけどね。」

「?」

「あっ!な・・・なんでもない、なんでもない!そっ・・そっかぁ、それじゃあ安心だね!紀羅!」

さっきまで栢と同じくうなだれていた紀羅だが、栢に話を振られて「う、うん」とうなずいた。

「あっ!そういえば叶恵。今聞くことじゃないんだけど、叶恵ってもしかしてお父さんかお母さんが妖狐だったりする?」

「紀羅!」

その質問に叶恵は少し驚くようにしたが、やがて優しそうな笑みを浮かべて答えた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫