《MUMEI》

さっきジェイミーに『化粧落とし貸して』と言われたのだけど、もちろん男だけの所帯にそんなものがあるワケも無くて困っていた。

そこでふと昔、母さんが椿油でお化粧を落としていたのを思い出したので、ジェイミーに同じものかなと思ってオリーブオイルを渡した。

「ちゃんと落ちたかな?」
「落ちたよ!こんなの知ってるなんてすごいなアキラ!」
「えへ…母さんがこうやって落としてたから、それ思い出して」
「マーマーかぁ…僕のマーマーは髪をザクザク切ってくれたっけなぁ…」
「ジェイミー、髪の毛はチョキチョキらよぉ?」

僕も服を脱ぎながら二人の様子を眺めていたら、蛇口でお湯を出しながらバスタブの中で泡を作っていたくるみちゃんが、意気揚々と僕に話しかけてきた。

「あのねぇ〜ジェイミーもパパとおんなじなのぉ〜♪」
「え…あぁ///」
「見られちゃった♪」

僕の時も驚いていたけど、もう最近は慣れたのかジェイミーの胸の辺りを泡でクルクルと撫で回していた。

「子供にセクハラされちゃったよぉ///」
「小さい子が居るとしょっちゅうだよ」
「おりぇちっちゃくないもん…」

頬を膨らませているくるみちゃんを挟んで正面に向き合って座ると、ジェイミーがくるみちゃんを抱き寄せて髪をワシワシと洗い始めた。

「お前はまだチビちゃんなの〜可愛いのがお仕事のチビちゃ〜ん♪」
「きゃう〜!」

さっきまでムクレていたくるみちゃんが、ジェイミーに全身を洗われながら楽しそうにはしゃいでいた。


ジェイミーにくるみちゃんの面倒を見てもらってる間、僕も少し長くなった髪を洗った。

「髪上げたアキラも格好いいね…ピャオリャン(綺麗)ハオスヮイ(格好いい)///」
「え///」
「ぴゃおぴゃおハオスゎ〜イ///」

髪を洗っているから髪を上げて額を出した髪型になっていて、ジェイミーはそんな僕をウットリとした表情で眺めていた。

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