《MUMEI》 深沢の手を強引に振り払うと、そこから身を投げ出した 傾く陽炎の身体 落ちて行く寸前、その身体が人の形を模す事を止め蝶のソレへと戻る そのまま飛んで去っていき その際に、深沢の頬へとその羽根を微かに触れさせた まるで縋る様なソレに、深沢は陽炎の方を見やって しかしその姿はすぐに消えてしまっていた 一体、陽炎は何を訴えようとしていたのか ソレはおそらく月齢と蝶の何らかの関係に寄る何か 考えても分からない事を柄にもなく考え始め だが矢張り見出せない答えに苛立ちばかりが募っていく 「……訳が分からん」 考える事に早々に飽いたらしい深沢 取り敢えずは帰って考える事にし、足早に鉄塔を降りると家路を急いだのだった…… 前へ |次へ |
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