《MUMEI》

「次なんだっけか?」
「国語〜」

「げ、漢字やってねーよ!」

「ばか〜」





すぐに国語担当の教師が入ってきて
クラスの皆はいそいそと席につく。






「きりーつ、れーい」



なんとも気力の抜けきった日直の
号令が教室に響き渡る。




「はーい、ご飯食べたばっかりで眠いだろうが張り切っていこう!」



妙にテンションが高いからウザイ
鼻フックをかましたくなる。





「えー、じゃあ教科書32P………」

言い終わる前に教室のドアが乱雑に開かれた。





「おはよーございまーす」




入ってきたのはサラッサラ栗毛の神山美咲。

5時間目の遅刻にも関わらず大あくびをしながらドアを閉める




「か、みやまぁ〜…お前また遅刻かぁッ!」

「起きたら1時だったんだよ」

「いつまで寝たら気がすむんだァ!!」

「いつまでも」

「………ッ。もういい、さっさと席につきなさい!!」




余裕ぶった態度で席に戻る神山美咲を
チラリと横目でみるあたし。


何を考えてるのか全然わからない男
それなのに何故か女子からは人気を誇っている。

まぁ、確かに顔はいいがいい加減な奴だ



噂では女遊びが激しいと聞いた








「ま、あたしには関係ないか」







その時はそんなことを思っていた

ぐるぐるぐるぐる



いつものような生活が続くのだろうと
色褪せた景色が広がるのだろうと



飽きっぽいあたしを
魅了するものなどないと……





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