《MUMEI》

「…ん?あれ?あの子新人??」

「………え?あぁ元義ですか?1ヶ月前ぐらいにウチに入ってきたんすよ」

「見るからにお坊っちゃんそうなのに」





2人は木陰に座っている大人しめな子を見ながら話した。





「なんか立場あたしらと全然真逆そうな感じなのに」

「ところがそうでもないんですよね〜」

「は?」




ニヤリと意味あり気な笑みを見せる智春を見上げるちよこ。何故そんな顔を見せるのか一つもわからない……





「見た目あんなんだから騙されるかもしれないっすけど、喧嘩は強いし容赦ないっすよ。おまけに融通が効かない……まだ1ヶ月しか経ってないけれどなかなかの問題児っす」




まぁ、ここの連中皆問題児の集まりなんですけどね〜。

と、言いながら楽しげに笑う智春はどこか大人びていてちょっと…ほんのちょっとだけ悔しかった。








「まぁ、楽しをだからいんじゃねーの?」

「そっすね」

「……ほいじゃ、あたしは帰るとするかァ―」





よっこらしょういちと訳のわからん掛け声をかけながら立ち上がる。







「え、もう帰るんすか?安達ももうすぐしたら来ますよ?」

「ん?いやいーのいーの、あたし用事あるし!まぁまた顔出しに行くから♪」

「……………………」

「ん?何、そんな捨て犬みたいな顔して〜。ちよこさんが帰るから寂しいか?寂しいのか??」





ニヤニヤしながら智春の肩をツンツンしてやる。





「…………寂しいよ」

「!!!」





透き通ったような瞳に見詰められ一瞬ドキっとした。





「お、おう、しししょうがね―な!今度会うときは手土産持参してくるからさ!」




そう言いながら頭をポンポンしてやる。
するとふわふわな猫っ毛が風に靡いてさらさら泳ぐ…




コイツは昔から甘えただっからな―






「よし、今度会うときはもっといい男になってろよ!じゃ―な♪」






そう一言言って走っていった……

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