《MUMEI》

「あのね…髪上げた顔が綺麗なのは本当に綺麗って事なんだよ」
「へぇ…やっぱり克哉さんは本当に格好いいんだなぁ」
「…ノロケないでよ」

そう言ってジェイミーが僕の頬に付いた泡を指で掬うと、僕に背中を向けて足の間に座ってきた。

「僕も髪洗って欲しいなぁ〜♪」
「ぁ…うん」

すでに髪を下ろした状態で毛先だけ濡れていたジェイミーの髪の毛を手に取ると、とっても綺麗で艶々としていた。

「いいのかな、ウチのシャンプーとか克哉さんの使ってたのそのまま一緒に使ってるだけなんだけど…」
「いいよ、僕なんかこっちの一番安いシャンプー使ってるし」
「え、特別なの使ってるかと思った」
「全然」

普通、こんなに綺麗な髪だったら女性の使ってる高そうなシャンプーを使ってそうなんだけど。

「元々綺麗なんだよ、僕って♪」
「そうなんだ…」

そういう人も居るんだな…。

日本に居た一人暮らしの時期に僕は髪を染めたりしてたから、それで荒れてしまったのかジェイミーみたいに綺麗に黒くて艶々とはしていなかった。

克哉さんは綺麗だって言ってくれるけど、僕もこのくらいもっと身だしなみに気を付けなきゃいけないのかもしれない。


ジェイミーの髪を撫でながら、その長い黒髪に指を滑らせる。

女の人のように小さな頭に指を当てながら洗っていると、くるみちゃんも同じように頭を洗われてうっとりしていた。

「ジェイミー…」
「なあにー…」

くるみちゃんはジェイミーの胸にもたれ掛かかり、人懐っこい声で話しかける。

「ジェイミーはプレゼントなの?」
「そうだよ、アキラへのプレゼント♪」
「やっぱり!」

突然声を上げたくるみちゃんはジェイミーの方を向くと、キラキラした目でジェイミーを見つめた。

「ジェイミーはお人形しゃんなんだね!」
「「えっ!」」

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