《MUMEI》 確かに、椎名くんは バスケをしてる男子の中で一番目立っていた。 贔屓目に見ているせいもあるかもしれないけど、 それでも一番かっこいいな、って思った。 椎名くんは完全復活。 ―…ついでに私の運動音痴も完全復活。 バレーでは、ミスの連続だった。 リッコたちは、 『なんか、こっちのがかなめらしいね!』 『最近かなめ上手すぎてこわかったもんね〜』 って笑ってたけど。 ふと隣を見ると、祥ちゃんが椎名くんを見つめていた。 ―…切なそうな眼差しで。 その表情がとても、綺麗だった。 私はその綺麗な横顔から、椎名くんに視線を移した。 「…祥ちゃん、」 祥ちゃんと同じように、 真直ぐに椎名くんを見つめながら呟く。 「…私、椎名くんが、好きだ」 「……しってる」 そう答えた祥ちゃんの声は凛として、 その瞳は、椎名くんの姿だけ、映していた。 前へ |次へ |
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