《MUMEI》
破 壊
「何をするつもりだ!」

山男がジェイオルのあからさまな動作に気付いて警戒を戻す。

「防ぐ方法が無いんだから、そこでジッとしてろ。俺のインプット魔法を見せてやろうと思ってな。」

雅俊は今度こそ、嫌な予感を感じて身体を硬直させる。今まで普通に会話をしていて多少油断をしていたのは疑いようもなく、それなのに突然自分に驚異の矛先を向けられている事に気付いた時には身体を動かすことが出来なくなっていた。


「俺は、インプット魔法を2つしか持っていない。なかなかの高位魔法だから出力までに時間がかかるのが難点だが、この2つで大体の事ができる。」

雅俊に向けていた手の平をゆっくり閉じていく。

「一つは、さっきお前らをふっとばした『破』。スレシルに突入するのはこれの応用。そして」

スッと、握った指のうち、人差し指を雅俊に向け伸ばす。




「もう一つが『壊』だ。」


いうが早いか、貯めていた力の固まりが雅俊に向かって放たれる。パワーゲージを渡した時のそれとは明らかにスピードも質量感も違う力の固まりはあっという間に雅俊に到達する。

「…っ」

「雅俊!!」

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