《MUMEI》

バシュウゥゥ…







「…ふ、ぉぉお???」


「雅俊!!?」

雅俊を中心に爆風が吹き荒れ、煙幕が上がり近づくことが出来ない。

煙の向こうで雅俊が妙な叫び声を上げたが、それよりも安否が気になる山男はなんとか立ち上がる。


風が弱まり、煙が薄くなった所でやっと山男は雅俊に駆け寄る。

「おい!?大丈夫か?」

「げほっ…意外と無事っぽいんです…けど…」

「…どういうつもりだ?ジェイオル!?」


突然、状況を変えた張本人は顔色一つ変えずに雅俊と山男のやりとりを見ている。

以前もそうだった。善彦と高校時代にジェイオルに出会った時も、ジェイオルが何も仕掛けて来ないままずるずると話をされるうちに油断させられて、結果酷い目にあった。

同じ事を繰り返してしまった後悔が自分の胸をぎりぎりと締め付けるのを感じながら、山男はジェイオルを睨み付ける。

雅俊は驚いているのか、身体を縮めたまま動く気配はない。返事を普通にしていたから、おそらく大丈夫だろうと判断する。


「んー?別に?俺の力でも見せつけてやろうと思ってな。『破』使うと人間のか弱い皮膚じゃ怪我するかと思ったから、『壊』使っただけなんだけど?」


いつの間にか煙は消え、また3人と白い空間が残る。


ただ一つ違うのは、雅俊の制服のシャツとセーターが、ズボンに近い部分を少し残してほとんど消えてしまっていた。

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