《MUMEI》

「…ひっでぇ…ここは寒くないけど、今、冬なのに…」

「雅俊!そこじゃないだろう!ったく。」

落ち着いてきたのか、見当違いな台詞を吐く雅俊につっこみを入れつつ、山男は、何も無いよりかは…と、来ていた白衣を雅俊に渡すために脱ごうとする。

ジェイオルは、つまらなそうに声をかける。

「リキ、お前な、俺の好意を無駄にする気か?」

「こういぃ??」

怪訝な顔をしてジェイオルを再び睨み付けるが、視界の端で雅俊が突然左手で自らの右肩をつかむのが見えた。



「せんせ?なんか、なんか右肩が変。吹っ飛ばされた時に背中打ち付けて、その痛みの延長だと思ってたんだけど、なんか明らかに違う…。俺の背中、あいつに何されたんだ??」

背中に何かするような魔法だったのか?と山男は焦って雅俊の言う右肩を見るために、雅俊の右側に回り込む。




「…ジェイオル?お前これ知ってて、わざわざ服をかっ消したのか?」



「先生?なに?くっそ、見えねぇ…」


雅俊は必死に後ろを見ようと首を回しているが、問題の場所はぎりぎり見えていないらしい。

そんな場所に、彼のスレシルの結晶はあった。

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