《MUMEI》
遊園地ー機嫌直しー
「お帰りなさ〜い♪」

今宵達がどうにか出口から出ると、係員の明るい声で迎えられる。

「こー。いい加減機嫌直しなよ」

「もう!!やっぱり無理矢理にでも入らなきゃ良かった!!」

今日やっぱり寝れなくなっちゃいそうだし!!

今宵はつーんとそっぽを向く。

「しょうがないな。ちょっと待ってて」

「へ?歩雪くんどこ行くの!?」

歩雪は今宵の頭に手をポンッとのせると、人ごみにまぎれてどこかへ向かった。

「ちょ、歩雪くん!?」

こんなとこに1人にしないでよ〜!!

どうしたのかなぁ〜歩雪くん!!

「お待たせ」

「ひゃ!!」

今宵が振り返ると、歩雪が何かを片手に立っていた。

「歩雪くん!!びっくりした〜!!ってソフトクリーム!!」

「そ。これで機嫌直る?」

「うんうん直った!!もらっていいの?」

「もちろん」

「ありがと〜歩雪くんっ!!」

これをわざわざ買いに行ってくれたんだ!!

今宵は歩雪からソフトクリームを受け取ると、パクッと口に入れる。

「ん〜!!おいしい〜!!」

今宵が目を瞑って顔を綻ばせた。

「それはよかった」

歩雪は今宵の幸せそうな顔を見て、口元を緩めた。

この顔を見た今宵は、先ほどの表情から一変して俯く。

「どうかした?」

今宵の異変に気づいた歩雪は、すぐに尋ねた。

「ううん!!」

やっぱり歩雪くんは優しいな。

私はこの人と一緒にいたい。

何で簡単に離れられると思ったんだろう・・・・・・。

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