《MUMEI》
オフ会の準備
「んーっ!よく寝た〜っ!」

沖田瑠璃子は午前十一時に定番なセリフを吐きながらこれまた自分のカーテンを開けるというベタな行動をした。

「あっ!今日オフ会だった!…準備しないと…」

そう言いながら瑠璃子は着替えを始めた。黒に薄紫のラインが入ったワンピース型パーカーに着替えた。

「どうしようかな…五ヶ月ぶりに外でるし…記念に新しい服とか買いに行こうかな…」

そう言いながら瑠璃子は財布とバッグを取り出した。最後に小遣いをもらったのは一ヶ月前で、財布には今まで貯めた82万円(正確には82万2000円)が入っていた。そしてほぼ無意味だが携帯電話を取り出し、護身用として内ポケットにはナイフ、バッグにはエアーガンを仕込んだ。

「街へ行くか。」

そう言いながら瑠璃子は何重にもある鍵を開け、重々しい自分の部屋のドアを開いた。しかし、部屋を出た瞬間、瑠璃子は顔をしかめた。

「あ…お母さん…」
「あら!瑠璃子ちゃん!顔を合わすのは…3週間ぶりかしら!」
「…2週間ぶりだよ、お母さん」

そう。部屋の前には瑠璃子の母…沖田薫が立っていたのだ。

「あなた!瑠璃子ちゃんが出てきたわよ!」
「なに!?本当か、薫!」

瑠璃子の父…沖田称が急いで階段をかけのぼってきた。

「瑠璃子!久しぶりだな!えーっと…3週間ぶりだな!」
「…だから3週間ぶりだって…夫婦そろって同じ間違いしないでよ…」
「すまん…それより欲しいものとかはないか?お父さん、なんでも買ってやるぞ?」
「…無い。私が出てきたのは久しぶりに下でごはん食べようと思ったのとあと出かけるから。」
「おぉ!本当か!?よし、お父さんが連れてってあげよう!」
「…いい。一人で行けるから…」

…まったく…なんでうちの親はこんなに過保護なんだ…

瑠璃子の両親はものすごい過保護なのだ。しかも、父は大企業・沖田財閥の社長、母は女優なのである。

「あっ!ご飯ならもう作ってあるわよ!」
「久しぶりに皆で食べようか」
「…いい。一人で食べるから…」
「そう……ご飯、テーブルに置いてあるから食べてね」
「…うん」

瑠璃子は階段を降り、テーブルに座った。皿にはカレーがあった。瑠璃子はさらに乗ったカレーを5分程度で完食し、小さな声で「行ってきます」と言い、午前11時30分に家を出た。

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