《MUMEI》

「!?」

『あ、そのままで!あいつに気付かれる。』


なにーーー??



どこからかは分からないが、確かに耳に届く声は雅俊のものだった。

『色々聞きたい事あるかもしれませんが、今は我慢してください。』

山男はうなずこうとして、ダメだと気付き、なんとか表情を変えずに耳を傾ける。

『俺、逃げるなら今しかないと思うんです。で、先生置いてくのはアレなので、なんとかしようと思うんです。』


うわぁ、生徒に、しかも善彦の弟に助けられようとしている、俺。へこんでいる場合じゃないが。へこむ。


『さっき、兄貴が化(センス)で脳に影響を与えることができる。って言ってましたよね?で、俺も出来るかなー?ってやってみたら、思いの外上手く行ったみたいで。』


クスクスと楽しそうに説明する雅俊に軽く尊敬の念を送りそうになる。

覚醒した直後、そんなに上手く自分の能力を使う方法を見つけるなんて…どうなっているんだ。


『取りあえず、説明は後で。ひとまず、先生も隠します。脱出はその後。

多分、上手く行くと思うんですけど。っていうか、上手く行きます♪』

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