《MUMEI》
王子様!?
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〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・





「お名前は?」

「……鬼塚ちよこっす」




時刻はもうすぐ17時。
只今女中歴30年のババa………先輩と会話中






「もう少し女の子らしい喋りかたをしなさい。それと私の名前はトメです」

「わかりました―」

「鬼塚さん、あなたにはここの東側廊下と北側廊下の床掃除をしてもらいます」
「長ッッ!」




ちよこの言うとおり延々と続きそうな長い廊下、気が遠くなる。





「18時から19時ごろにかけてが一番お客様の出入りが多いので、この一時間で掃除し終わって下さいまし…」




近くにあった時計を指さしながらそう説明された。





「意外とハードスケジュール」

「これ、お雑巾とバケツです。水返の時にはこちらの給湯室を使用下さいまし」

「りょ、了解しました」







「それでは頼みますね」と一言告げ、トメは背を曲げながら東側の廊下を歩いていった…。








そしてちよこは「う〜〜ん」と唸り



「………やるしかないか」






憂鬱そうな表情で仕事に取りかかった。





―――――そしてその頃美咲は……





学ラン姿のまま庭で盆栽の手入れをしていた。



ズラリと計6つの盆栽が木の盆栽棚に並んでいて、一つ一つの鉢に名前が書かれてある。


鼻歌を歌いながら手入れをしていると




「坊っちゃん」




と、後ろから聞こえてきたので美咲は振り向いた。そこに立っていたのはさっきまでちよこに仕事を教えていたトメだった。






「何?」

「また手入れですか……それをするのならちゃんと着替えて下さいまし。制服が汚れましょう」

「うるさいな―。ダルいんだよ」

「お兄様に怒られますよ?」

「………………。そういやアイツちゃんとやってる?」

「今頃本気になって廊下を磨いてましょう」

「ふ―――ん……」





何の意味もないが、チョキチョキと枝切りバサミの音を出してみる。






「そんなことより坊っちゃんお着替えを……「あ―はいはい」





トメに言われる前に美咲は盆栽の手入れをやめ縁側に上がる。


そしてトメに背を向けたまま



「……………菜月にも言ったの?人手不足を補う為にアイツを今日だけ働かせることにしたこと」

「はい。一様御当主と女将様、菜月坊っちゃんにはお伝えしました」

「……ふ―――ん……」

「何かご不満でも?」

「いや別に?」




素っ気ない言葉をはっして美咲は廊下を歩いていった………







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