《MUMEI》

「また、出直してきていいですか?」

澪梨は、叶恵がそう言うのを見通していたかのような笑みで言った。

「もっと力つけてきな。人一人分の”悲しみ”は、俺がいっちゃん苦手なタイプだし。森んなかだから、まぁのんびりやってっから。」

そう聞いて、安心した叶恵はふわりと木漏れ日のように微笑んで礼を言った。

その笑みを見た澪梨は視線をクイッと洞窟に向けた。

「仕事は残して、待っといてやる。」

気取ったように片腕を挙げた澪梨が言ったのを聞いて、もう一度、叶恵は礼を言って待っていてくれた嬉々達と共に森を出た。

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