《MUMEI》 + 「んじゃ、いくよちよこちゃん!」 「えぇ!?もうっすか??」 「お食事が冷めちゃうでしょ?」 「うぅ…わかりましたよ」 ひそひそ会話をするのは、ちよこと一つ年上である女中の恋芽(レンゲ)。 先ほどちよこは、トメに食事を持っていくよう指示されたのだが、一人でいくのはムリと駄々をこねたのでトメは通りすがりの恋芽を捕まえ、二人で食事を運ぶこととなって今の状況にいたる……… 恋芽は息を吸い込み、開いてない客のいる部屋の襖に向かって 「お食事をお持ちいたしました」 と、透き通る凛とした声が響き、中から中年男性の偉そうな「入れ」と言う声が聞こえてきたので 恋芽はスッと両手で襖を開いた。 ちよこはまた嫌な予感がして口元がひきつる。 「本日は当旅館に足を運んで頂き、誠にありがとうございましす」 「あー、そんな固い科白はいい。早く食事を運んでくれ」 「かしこまりました」 笑顔を崩さずニコニコとする恋芽の顔を感心しながら見いる。そして慌て自分も食事を持っていく 「本日は秋の季節料理として松茸入りの土瓶蒸しに焼きさんま、松阪牛のたたき。ワサビをのせると美味しいですよ?」 「酒はどうした」 ふてぶてしい体格の多分部長クラスの中年が二人座っていて、恋芽の手前に座っていた男が酒を追求した。 「あ、あたしが持ってますッ」 ちよこはすかさず持っていくたお酒を出す。 「ふん、だったら酌しろ」 お猪口を手に持ち偉そうに命令する。 ちよこはイライラを我慢するしかなかった 「わかりました」 それでも恋芽は顔色一つ変えず笑顔のまま酌する。 ちよこも自分の手前にいた男に無理やり笑顔をつくり酌をした 「お前年はいくつだ?」 「…………あ、私ですか?」 「お前の顔みて言ってんだ、そうに決まってるだろう」 突然の質問についていけなかった。 「じゅ、18………ですが」 「ほ〜〜〜う……」 顎をさすりながらちよこを上から下まで舐めるように見てくる……… 「(見んなよオボロロロロロ)」 心の中で吐いた 「お前はいくつだ?」 そう言いながら恋芽の手をさする 「19ですよ?お客様」 「二人共若いですね―。山本部長」 「(セクハラじゃねーか!!こんな立場じゃなかったら瞬殺すんのにこのハゲッッ!!!)」 客とはいえ、非常識すぎる……… このままだとこの男は図に乗る。どうすればいいだろうと悩むちよこ + 前へ |次へ |
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