《MUMEI》

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「わかったから、からかうようなこと言って悪かった……無神経に傷つけてごめん…………」

「……………………」

「あ、あたしまだ仕事あるしさ!もう行くわ!そんじゃ」





顔が見えないよう俯いて早口で言ってからその場を走って逃げた。



泣きそうな顔見られないように




キツい言葉に泣きそうになったんじゃない





アイツを辛そうな顔にさせたことに泣きそうになった………




「あーぁ、寝みーなコンチクショウ」









ちよこが走っていった後、美咲は座り込み「ダセ――」と小さく空笑いしながら呟く…



「なにムキになってんだよ…ダセ――………………」




ザワザワ、黙っていると聞こえてくる客の声が嫌に廊下に広がる。










「…………………………恋芽……………」





ぽつりと君の名前を呼ぶ




閉じ込めていた気持ち


一回でも許してしまったら止まらなくなる…………




溢れて、溢れて、溢れて






「……………好きだ…………」





その言葉を出して
涙が流れた。





ギュッと自分を守るように体を縮こませる






いつもいつも、俺が本当にほしいと思ったものは



全体手に入らない。






「だからアンタは嫌いなんだ…………………菜月」







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