《MUMEI》
プロローグ〜告白
七年振りの実家はどこか懐かしく

それでいて、自分がここに住んでいたという

実感が沸かなかった…

ヒロは裏山のお寺にある母親の墓に向かった。

一通りの掃除を済ませ、
墓の前に跪き一通の手紙を置いた。

七年間亡き母へ渡したかった手紙…


なぜ、最後になって後悔してしまうのだろうか?

どうしてこんなに沢山の大事な人達を失ってしまうのだろうか?

自分の犯した不始末とはいえ

大事な人達も守れず、

自分にとって一番大切な事にも気づけなかった…
こんな自分でも、もしもまた生まれ変わる事ができるなら、

それでももう一度

同じ人生を
同じ家族と

そして今まで出会ってきた人達と

共に過ごして生きていきたい


二度と後悔のない日々を、次は大事に守りたい。


こんな不幸者でいいなら

もう一度自分を生んでほしい

母へ


人生最初で最後の後悔。

取り返しのつかない過ち…


ヒロは母親を殺してしまった



もがき苦しみ、

自分という人間を恨んだ。
それでも生きている自分

涙は出なくなっていた―


早く母さんに会って詫びを入れたい。

回りからなんと言われても構わない

心から思った事…

「守る物はなくなった。いつ死んでも構わない。」


共存共栄はない

喰うか食われるかのこの世界

やるだけやって潰れたら納得もいく…


それがヒロの修羅道の始まりであり

同時にこの国の底辺を味わっていく事になる…

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