《MUMEI》

「黒澤将貴くーん。」


「・・・はい。」


こいつ、同じクラスだったのか?


目の前にある背中を見て、
目を見張る将貴。


あ。


制服に黒っぽい汚れが薄く残っているのを見て、
やはりこいつは木城優美なのだと納得した。


おそらく昨日の騒動で汚れたのだろう。


頑張って汚れを落とそうとしたのか、
ぼんやりと霞んでいる。


だが今こうして座っている限り、
どうやら汚れは落ちなかったみたいだな。


木城優美が慌てふためいている様子を想像し、
込み上げてくる笑いを必死に噛み殺した。


この学校生活も中々面白くなりそうだな。


将貴が怪しく微笑んだのを、
前で座る木城優美には勿論わかるはずがない。

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