《MUMEI》
ゆび
彼の髪は耳に掛けれるくらいの長さになっていた。

穏やかな時間は天気の良い日に、あゆまの住んでいたアパートを訪ねた。

当初は特に目的も無く、電車がその方向に向かっていたので「何と無く」行くことにした。
向かいの座席ではあゆまが窓を眺めていた。

俺はその窓の光に滲んでゆく横顔を黙々と眺める。
穏やかな時間だ。
あゆまは落ち着いていた。
この車内の時間は緩やかに俺だけ置いてかれてゆく。

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