《MUMEI》 それもそのはず。 この音は将貴が左耳だけに付けている、 盗聴器から発っせられたものだからだ。 そしてその音源は登校に使用したバイクから。 万が一盗難にあった時を想定して、 購入した当初にGPSを兼ね備えた盗聴器を搭載した。 故に将貴はあの衝撃音はバイク付近で起こったものだと、 瞬時にして理解した。 同時に、どうやら電話の依頼を受けた部下が到着したと判断する。 案外速かったな。 将貴は左耳に集中した。 すると予想どおり、 部下の声が耳に入った。 『何やってんだ、てめーら?』 普段あまり聞くことの無い、 凄みを効かせた声色が新鮮に感じる。 『あん? 何ってみりゃわかるだろーが。』 どうやら先客がいたらしい。 前へ |次へ |
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