《MUMEI》

「俺行くわ」

「ぇえっ?」

満面の笑顔で俺の肩を二回叩き、直哉は教室を後にした。




俺は気まずくてとにかく後ろを振り返れない。


何故かクラブの顧問もいつまで経っても来ない。

携帯を無意味に弄りながら俺は息を潜めひたすら後ろの人物に集中しまくり。


後ろの人物は何故かず〜っとハアハア言い続けている。


もう耐えらんない…
先生捜す振りして教室出ようかな…

つかさっきのどうしよう。
見られたかな。それともギリギリセーフ?


あ〜んもう…はあ〜…


「先輩ッ!」


「びぎゃっ!」


「…びぎゃっ?」


いきなり話かけられて俺は変な声をあげた。

や、ヤバイよ〜ッ!
は、恥ずかしい…


後ろの人物はズズっと椅子を鳴らしながら、俺に近づいて来た。
そう、椅子ごと移動してる!!




そしてその人物は、俯く俺に…



「はい、あげる」


「……、…」


一枚の紙を俺に差し出してきた。

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