貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
Soul in the darkness その1
四季は巡り、貌を変える。
あの日から、どれくらい経ったのだろうか。
そんな事を考えながら一人の青年はひたすらに歩を進め続ける。
「俺は、強くなった」
そう、口に出してみた。
剣を手に取り、震う。
刻印とも見える光の痕跡が大気の中を疾る。
青年は瞬きをした。
すると、周囲に在った筈の風景は元から無かった様に全く削り取られていた。


「そろそろ街だな。やっと、まともな宿に泊まれる」
安堵して、胸を撫で下ろす。
それもその筈、彼は此処に辿り着く迄、野宿をしていたのだから。
先ずは宿を探す。
そして、それから一一一。
ドンッ。
誰かとぶつかる。
「御免なさ…」
謝って、立ち去ろうとする。
だが、そのどっかの誰かさんは許してくれる気は無かった。
「死にたいのかなぁ?キミ」
刄が向けられる。
斯くも世は不条理か、と嘆こうと青年は想う。
「馬鹿かてめぇ!?ここら辺で最強の魔剣士、ヴァータさんにぶつかってタダで帰れると思うなよ」
「魔、剣士……?」
思わぬ好機の到来に、笑う。
「じゃあ5%でいいな。一々力を使うのも惜しいから…な」
「おい、何ぶつぶつ言ってんだ!!」
「魔導剣、一一解放、起動」


きっと、一秒も無かっただろう。
神掛かった、その抜剣は。
僅かな間隙を置き、男二人は、驚愕した。


両腕が、無い。


「う、うわああああああああぁぁぁ一一一一!!!!」
吹き散らされる大量の赤。
足元に転がる、四腕。
青年は刄を構え、怯える眼前の獲物を見据え、言った。

「一一一俺の前で、二度と魔剣士と名乗るな。死にたくなければ消え失せろ」

腰が抜けたのか男達は立ち上がれない。
「あ……あ、あんたは、いっ………一体一一一」
「知りたいか?」
哄笑を放ち、青年は答えた。


俺の名は、エグザス。


エグザス・アルティアス。

狂凱の黒剣、エグザスだ。

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