《MUMEI》

「おぅ、お帰り。なんか疲れた顔してんな?山男なんだって?」

「んー…」
困った。ジャージよりもそっちを聞かれると…さすがに返事全部は用意してねぇ…放課後も生物準備室行くしな、不本意だが、単位外履修とか名目にしておいた方が、他の生物教師達の目も眩ませられるか…



雅俊は教室に戻ると共に声をかけてきた隣の席の田中君に適当に笑っておいて、自分の席にグタリと座り込む。目の前には半分残った焼きそばパン。

背もたれに寄りかかろうとしたら、思いの外痛かったので机に肘をついてため息をつく。











戻ってきた。戻って来れた。
でも、夢じゃない。背中が痛い。










焼きそばパンを手に取るとぎゅっと握りしめ、にやける顔が抑えきれない。

間違いなく、自分の中に、力があることが分かる。ふと外を見ると、さっき振っていた大粒の雪はもう止んでいた。

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