《MUMEI》

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―――わたしが、勇治のことを好きになったと自覚した頃、


マネージャーであるヒロコが勇治に告白をした。



それがきっかけとなって、ふたりは付き合うことになり、かれこれもう、1年が過ぎようとしている。



仲睦まじく微笑み合うふたりの姿を、すぐ傍でただ眺めては、



わたしは、勇治への淡い想いをいまだに絶ちきれないままでいた………。



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シャワーを浴びて、制服に着替えると、わたしは荷物をまとめてさっさと部室を出た。


校庭にはまだ、たくさんの運動部がそれぞれの練習に励んでいる。もちろん、陸上部も。


グラウンドの上に広がる大きな空。その端の方は鮮やかな茜色に、うっすらと染まり始めていた。

わたしはため息をひとつつくと、校門に向かってゆっくり歩き出す。

歩きながら、校舎の方から吹奏楽部の合奏している音がぼんやりと聞こえてくることに気づいた。

その憂いを帯びた旋律を聞きながら、わたしはとぼとぼと力無く、人もまばらな校舎をあとにした。



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