《MUMEI》

バシッ!!



「ナイスキーッ!!」



ガヤガヤ…



両チームの調整の姿に、


会場にも次第に緊張感が漂い始めた。



「なぁ…」



「ん?」



「監督はああ言ったけどよ、
実際向こうがどんな作戦で来るかは正直わかんね〜だろ?」



「あぁ…
まぁそこは臨機応変に…」



「いや…」



「ん?」



「後半…
最初は前半と同じディフェンスで行こう。」



「何で?」



「向こうの出方を見たい。


最悪1点向こうにやってもいい。


調子上がって来てるあいつらに出だしから得点やんのは正直いてぇけど、


向こうの攻撃を知るって意味じゃ1点は安いぜ。


幸い後半はウチの攻撃からだし、


スタートのプレーで1点取りゃチャラだ。


確率上げるって意味でもよ、


後半は向こうの出方を見てえんだ。」



「…なるほどね。
そういう理由なら別に反対はしないけど1つ条件がある。」



「何?」



「その作戦はウチが先攻した場合のみ決行。」



「あぁ…それくらいなら別に。」



「それともう1つ。」



「…条件は1つじゃなかったか?」



「うっせ!!
細かいことにいちいち突っ込まなくていいんだよ!!」



「はぁ…まぁ一応言ってみ。」



「その1点は俺が決める。」



「はぁ?
お前もし外したら今日1日俺にいじられんぞ?」



「たまには好き勝手やりて〜んだよ。」



「お前…
いっつもそう言って好き勝手やってんじゃね〜か。」



「和也…
これ言うの2回目だけど…」



「細かいことに突っ込むなだろ…


わかったわかった…


好きにしろよ。


おめ〜が司令塔なんだからよ。」



「ふふん。
なんだかんだ言って物分かりいいよな和也は!!」



「どっちにしたって仕掛けんだろ。


だったら何言っても無駄じゃね〜か。


俺が折れるしかない。」



「ま…そうとも取れるか…」



「ビーッ!!!」



会場に響き渡るブザーの音。



「っし…行くか。」



「お〜よキャプテン。」

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