《MUMEI》
放課後
午後の授業と授業の間に、田中君以外の生徒からジャージの事は聞かれた。

山男が用意してくれた理由をそれっぽく脚色して説明してみたら、予想以上に馬鹿にされた。




コンコンーーー

「明智です。」

ガララーーー

「あぁ、授業お疲れ。顔色悪いな、大丈夫か?」

「お…お腹空いた…昼の残りここで食べても良いですか?」

軽くめまいを覚えながら訴える雅俊に、山男は大きな声で笑いながら椅子を出してくれた。

「昼休みほとんど使ってしまったもんな。なんだその焼きそばパン!潰れてんじゃねぇ…か……」



雅俊が座っていた椅子には、かばんと食べかけの焼きそばパンがぽつんと置いてあった。

「…ったく、少しは前兆とか予兆とか無いのかあいつは。」





****



「さっき思わず握りしめちゃ…て…あれ?」

今にも食べようとしていた焼きそばパンが消えた事に驚いて、雅俊ははっと顔を上げる。
昼休みと同じく、目の前が真っ暗になる。

「…ソウラン?」

「その通り、リキに色々話は聞けたか?」

「!!?」


声のした方を向くと、雅俊から少し離れたところに、ピタッとした藍色のタートルネックのシャツに黒いズボンを履いた20代くらいの男が立っていた。但し、妙に小さい男が。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫