《MUMEI》 喧嘩翌日、廉からの話を悠一に伝えた僕は2日後の日曜日にお兄様達と話し合うことを提案した。 「…で、今度の日曜は休みだって廉が教えてくれたんだ。だから、その日が良いと思うんだけど…」 「あぁ、だったらその日でいんじゃね?」 「なんだよ、適当な返事だな」 「別に、そんなことねぇよ」 …やっぱりおかしい。 悠一の受け答えや態度を見て、そう思った。 だって、話の最中、悠一は僕と一度も目を合わせなかった。 明らかにいつもとは違う態度に、僕は戸惑うと同時に腹が立ち始めていた。 何か怒らせるようなことしたのか?でも、だとしたら何でそれを言ってくれない?ホントに意味分かんねぇし。 「なぁ、悠一。言いたいことあるなら言えよ」 「別にねぇ」 「何もなくはねぇだろ?明らか怒ってんじゃん」 「怒ってねぇ」 「嘘つくな。態度に出てんだよ。僕が気付かないとでも思ってんの?」 「ハァ。何でもないって言ってんだろ?しつけ―な」 悠一はイラついたように頭をガシガシと掻きながらそう言い放った。 …は?しつこいって何?悠一が悪いんじゃん。何でそんなこと言われなくちゃいけないんだよ! 僕は怒りにまかせて、先程まで飲んでいたジュースのパックを悠一に投げつけた。 「って!…おい、梨央!!何すんだよ!」 「悠一のバーカ!!何だよ!一人で不機嫌になってさ!!僕が何したっていうんだよ!?もう、意味分かんな…っ」 一気に捲し立てていたら、いつの間にか瞳からは涙が零れていた。 あーもう、何に泣いてんのかすら分かんないよ 言葉を切って泣きじゃくる僕は、突然そっと包み込まれた。悠一が抱きしめてくれているのだと理解すると同時に、さっきまでの態度との違いに困惑する。 「悠い「梨央、ごめん。本当に怒ってたわけじゃないんだ。ただ、その…」」 何だろう? 悠一は最後の方で言葉を濁し、なかなか続きを言おうとしない。そんなにも言いづらいことなんだろうか? …! もしや、早くも別れの言葉とか!?それでなくとも、一緒に住むのをやめようとか… ぐるぐると嫌なことばかりが頭の中をめぐる中、続きを言う決心をした彼の口から発せられた言葉は、予想外のことだった。 前へ |次へ |
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