《MUMEI》 許してやらないっ「…あのさ、あれだよ。その、南方さんの話を梨央があんまりにも嬉しそうに話すから…」 「は?話すから、何?」 「〜〜〜っ、だから!嫌だったんだよ!他の男の話と楽しそうにされるのが!」 「…ヤキモチ?」 「っ!そ、そうだよ!悪かったな、心狭くて!」 そう言って悠一は、僕をぎゅっと強く抱きしめた。 あれだけ怒ったような態度を取ってた原因がまさかヤキモチだなんて、誰が想像できようか。まったく、悠一はガキなんだから。 僕は、あまりにも拍子抜けしてしまい、ククっと短く笑った。 「何笑ってんだよ」 「ベっつにー。…あ、でもさ、しつこいはないんじゃねぇの?あれはさすがに傷ついたぜ?」 「はい。本当にごめんなさい」 「…許さない」 「…え?」 驚いた悠一の顔は何とも間抜けで、思わず笑ってしまった。そしてその後、ビシッっと人差し指を突き付けながらこう言ってやった。 「許さないよ。だけど、キスしてくれたら許す!」 僕の発言にぽカーンとしていた悠一だったけど、少ししてからフッと笑い、優しくキスをしてくれた。 そして、唇が離れると「バーカ。そんなこと言わなくたって、いつでもしてやるよ」と言って、僕の頭をくしゃっと撫でた。 ちょっとしたことが原因で始まった小さな喧嘩だったけど、たまにはこういうのもいいかもしれない。 だって、よりお互いを知れるだろ? 僕達はその後、日曜日にお兄様達と話をすることを決め、その日は別れた。 前へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |