《MUMEI》
謎の少年
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―――目の前に現れたのは、

何とも不思議な少年だった。



どこか幼さが抜けきれていない、アイドルのようなあどけない顔立ちに、アシンメトリーにカットされた髪の毛は、闇夜に映えるオレンジ色。そこに浮かぶ利発そうな瞳は、爛々と輝いている。

身に纏った黒いスーツの両袖を肘の辺りまでたくしあげ、そこから伸びる両手には白いグローブをはめていた。

背はそれほど高くないが、身体は適度に引き締まっているようだ。

突如として現れた少年に狼狽したのか、男は今までとは違うドスのきいた声で怒鳴り付けた。

「なんだテメェ!ドコのモンだッ!?」

しかし少年は男の怒号に怯むことなく、不躾な視線をジロジロとわたし達に向けた後、

ふー…と、ひとつ息を吐いた。

「銃刀法違反、恐喝・暴行・殺人未遂に…」

独り言のように呟いてから、道路に停めたままのバイクに視線を流す。

「…この道路、駐停車禁止って知ってた?」

まるで何でもないことのように、のたまったのだった。



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