《MUMEI》 「俺、学生時代に小暮さんの以前の仕事場で一時期働いていたんですよ。」 っつーことは、米岡は年下なのか……髭のせいか酷く老けて見える。 こんなモサいホストいたっけか。後輩に聞いてみよ。 「それはそれは。」 営業用に切り替える。 「颯太さん握手してください!」 光がミーハー丸出しだ。 「俺なんかでよければ。偶然でしたね、お二人はプライベートですか?」 「いえ、仕事です。」 二人の固く握られた指に心の奥で嫉妬した。 「俺も今、仕事で作品展示会場の下見です。」 「此処でやるんですか!俺、仕事であまり見れないんですがDVD全て持ってます!この間の自主制作映画も凄く楽しかったです。」 「有難うございます俺も最近の映画見ました。胸を打たれましたよ、そうだ次の展覧会にご招待致しましょうか。」 「いいんですか?」 光が声も出なくなっていたので代弁してやった。 「是非、お二方でお越しください。」 ……ちょっと面倒だな。 前へ |次へ |
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