《MUMEI》 スーツ集団. しかし一度閃いてしまったわたしは、そんな彼の様子に気づくこともなく、無視して続ける。 「『キョウゴク』よ!アイツ、わたしに『キョウゴクのナントカ』って言ってたわッ!!」 わたしが放った言葉に、少年はサッと表情を冷たくした。それを見て、彼が何か知っているのだと確信する。 襟首を締め上げて、わたしはさらに詰め寄った。 「アンタ、何か知ってるんでしょ!?『キョウゴク』って…『父親を恨め』ってどういうこと?ねぇ、答えなさいよッ!?」 勢いに任せてわたしがそこまで捲し立てた時、 「それについては俺から説明しようか」 不意に物静かな男の声が流れてきた。わたしはハッとし、慌てて振り返る。 そこには、いつの間にか背の高い男が立っていた。 無精髭を生やし、髪の毛は寝起きのような無造作なもの。少年と同じ型の黒いスーツを身に纏っている。 少したれ目な彼の瞳はしっかりとわたしを捉え、唇はシニカルに少し歪んでいた。 さらに、その男の後ろには闇に溶け込んでしまうほど怪しげな黒塗りの車が、ひっそりと息を潜めるように止まっている。 . 前へ |次へ |
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