《MUMEI》 実力行使と作戦変更. それを確認してから、無精髭の男はわたしを見遣る。 「俺達はこれから安全な場所へ移動する。もちろん嬢ちゃんも一緒にだ。話はそこでしよう」 そう言って、顎で車の方を指した。 「あれに乗ってくれ」 さも当然のように言ってきた彼に、わたしは食って掛かる。 「あんな怪しげな車に誰が乗るかっつーのッ!」 警戒心剥き出しで怒鳴ったわたしに、無精髭の男はため息混じりに呟く。 「移動するだけだ。ここは危ない」 「移動してもっと危なくなったりしてね!」 「大丈夫、悪いようにはしないさ」 「されてたまるか!」 いちいち揚げ足を取ると、さすがに男は顔をしかめた。 「あーいえばこーいう女はモテねーぞ?あと声のデカイ女も」 カチンときたわたしは、大きなお世話!!と大声をあげる。 わたしの様子を見て、無精髭の男はやれやれというふうに肩を竦め、 「こーなりゃ実力行使か…」 と、何やら穏やかでない発言をした。 . 前へ |次へ |
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