《MUMEI》 . 男は、無視したわたしをいまだに半眼で睨んでいる少年を見遣り、柊!と鋭く呼んだ。 「作戦変更。この嬢ちゃんを車へ」 短く命令すると、柊と呼ばれた少年は、了解!と答えてわたしに歩み寄り、軽々と片手で担ぎあげる。 「何すんのよッ!!」 予想外の展開にビックリしてわたしは叫んだ。少年は顔をしかめて、ただ、うるさい、と切り捨てる。 「ヒトの耳元でギャーギャー喚くな」 「喚くだろ、フツー!っていうか、ドコ触ってんの!変態ッ!!」 「お、おい!そんな暴れんなよッ!!落ちるってば!」 「いやー!!離してよー!!」 わたしがジタバタもがくと、少年は面倒臭そうな顔をして、無精髭の男へ振り返った。 「…ちょっと黙らせていいッスか?」 ぼやきながらその右手を手刀の形にする。わたしはゾッとし、慌てて口を閉じた。さっきの闘いぶりから、そんなものを食らったら気絶するだけでは済まなそうだ。 . 前へ |次へ |
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