《MUMEI》
遊園地ー観覧車・今宵&紘ー
「オレら先乗ってるな!!」

「んじゃあお先に〜」

今宵と紘は観覧車のカプセルに乗り込むと、次のカプセルを待つ歩雪達に声をかけた。

ガチャリ。

観覧車のドアがしっかりと閉められる。

「う、わぁ〜!!たっけーなぁ!!」

紘が窓の外を見て騒ぐ。

歩雪くん達、どうなったかな。

って考えちゃ駄目だってば!!

気にしないことにしたんだから!!

今宵が俯いて考えていると、紘が今宵の真正面に座りなおした。

「今宵ちゃん。歩雪達のこと気になる?」

「うぇぇ!?な、何で分かったの!?」

そんなに私ってわかりやすい!?

今宵がアワアワと慌てると、紘がたははっと笑った。

「そんなの見てれば分かるって!!今宵ちゃん、本当に歩雪のこと好きだもんな♪」

「ち、違!!・・・・・・わないけど」

「なんだそれ!!」

紘は今宵の反応を楽しむように笑った。

「も〜!!琴吹くん!!」

恥ずかしいよ〜!!

琴吹くん分かったような目で見てくるんだから!!

今宵はムスッと顔をしかめる。

この顔を見て、紘は先ほどとは打って変わり真剣な顔つきになった。

「な、今宵ちゃん。悩んでることあったら何でも言いなよ!!オレでも、秋葉ちゃんでもさ!!」

「え?」

「最近今宵ちゃんの様子がおかしいなって思ってたんだけどさ。でも歩雪もおかしかったんだよな。
だけどオレは見てるだけで何にも役に立たないし」

「・・・・・・琴吹くん」

「オレじゃ力になれないかもしんないけどさ、話を聞くくらいならできるよ。ていうか聞かせてくれると嬉しいし!!
たぶん秋葉ちゃんもそう思ってると思うよ?」

照れたように笑う紘を見て、今宵は思わず口元を緩めた。

「ありがと、琴吹くん」

こんなに真剣に話してくれる琴吹くんや、いつも背中を押してくれる秋葉ちゃんには話して良いかもしれない。

一生私の胸だけに留めておこうとした出来事を。

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