《MUMEI》

「あららぁ、とんだ再会の挨拶やなぁ。」


おかしそうに笑う黒烏の前に、ワイアームが躍り出て咆哮による音波で焔を相殺した。


「くそっ!」


苛立ちながら再び焔を練るが、爆煙が晴れた場所に、既に黒烏の姿はなかった。


「どこいきやがった!?」


視線を巡らせていると、

『またな、今度はゆっくり遊ぼうや♪』


頭の中に声が響くと同時に、彼方の空に小さくなっていく黒い影を見た。

「くそっ!」


拳を壁に打ち付けながら瀧が歯噛みしていると、

「ん〜……、瀧?」


目を擦りながら、綾乃が起き上がった。


はっ、として瀧は振り返り、綾乃に走りより、無事を確認する。


「怪我とか、ねーか?」

「ん〜?全然?あれ、ここどこ?」


いつもの様子の綾乃に、瀧は安堵し、大きく息をついた。

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