《MUMEI》 . 男の人は空いている席に腰を下ろし、ちょうど向かい側になったわたしの顔を、とても真剣な眼差しで、じっ…と見つめてきた。その視線に、わたしは戸惑う。 ………なに!? わたし、何か粗相したっ!? ひとりドキドキしていると、男の人は堅い表情を浮かべて、隣の無精髭の男へ振り返った。 「この子が、例の『影』かね?」 …。 ……。 ………『カゲ』? 何のことかわからず、眉をひそめる。尋ねられた無精髭の男は、ゆっくり頷き、わたしを感心するような目で見た。 「良く似ているでしょう?歳も同じ…背格好も見た目もほとんど変わりません」 彼の呟きに、男の人も頷く。 「なるほど、暗殺者も間違える訳だ…」 『暗殺者』という、何やら穏やかじゃない言葉が飛び出たので、わたしは意を決して、あの!と大きな声を出す。この部屋にいる、わたし以外の3人の男達が、一斉にわたしに注目した。 . 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |